2023年04月06日
コラム
【内科医が紹介】花粉症のつらい症状を和らげるための治療と対処法
みなさんこんにちは。
日扇会第一病院に所属する理学療法士の梶原です。
このたび、日扇会第一病院の院長である八辻賢医師に「花粉症」についてインタビューをしてきました。
目のかゆみやくしゃみ、鼻水でお困りの方が知りたい治療方法や対策が理解できると思います。
ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
【目次】
- 花粉症になる原因とは?代表的な4つの症状を紹介
- 花粉症の代表的な症状への治療・対処法
- 風邪やコロナウィルスとの症状の違い
- 自身のアレルギーを知り、正しい対策を
花粉症になる原因とは?代表的な4つの症状を紹介
梶原:毎年2月の初旬ごろから「目がかゆい」「鼻水が出る」など、花粉症の症状に悩まされています。「アレルギー性鼻炎」と言われたことがあるのですが、それぞれの症状によって違いがあれば教えてください。
八辻医師:花粉症とは植物が作る花粉に対するアレルギー反応のことをいいます。
花粉がついた粘膜によって症状が変わるため、目につけば「目のかゆみ」が現れ、鼻につけば「鼻水」が症状として現れるんです。
特に目や鼻は体の外側にある臓器のため、花粉に触れやすく「アレルギー性鼻炎」や「アレルギー性結膜炎」を引き起こします。
また、喉の痛みは鼻詰まりによる乾燥で生じる場合もありますが、喉の粘膜に花粉が付着して「アレルギー性咽頭炎」を引き起こしているケースも考えられます。
中には肌のかゆみや痛みが生じる「アレルギー性皮膚炎」を患う方もいるため、花粉に極力触れないよう日々の対策が必要です。
さらに、花粉症は症状が出ている粘膜を刺激してしまうと、さらに症状が悪化する恐れがあります。
- 目を擦る
- 鼻を頻繁にかむ
- 肌を掻く
- 辛いものを食べる など
これらの刺激は症状を悪化させてしまう悪習慣といえるため、症状が出ている間はなるべく避けるようにしましょう。
4つの症状の違いとNG習慣
花粉症の代表的な症状への治療・対処法
梶原:今シーズンは花粉症の症状を強く感じる方が多かったように思えます。まだまだ花粉の飛散は収まらないとも聞いているため、花粉症の症状を和らげる治療や自身でできる対策を教えてください。
八辻医師:花粉がアレルギー症状の原因とわかっていれば、とにかく花粉に触れる機会を減らすことが大切です。完全に避け切るのは難しいですが、対策をしていれば症状は緩和できます。
自身でできる対策としては、マスクやゴーグル、長袖長ズボンのような服装を心がけるなどは有効な手段ですね。まずは花粉をガードするよう対策をしてみましょう。
とはいっても完全にはガードできないため、花粉に触れてしまった後の対策も忘れてはいけません。
中でもうがいは一番手軽にできる対策です。喉の粘膜についてしまった花粉を洗い流すためにも、外出後には手洗いと合わせてやってみてください。
服に付着した花粉は自宅の奥まで持ち込まないよう、コロコロ(粘着カーペットクリーナー)で花粉を除くのもいいと思います。
花粉症の症状を和らげる治療としては、抗ヒスタミン成分の点眼薬や点鼻薬、目を洗浄する製品も花粉症の症状を抑えるには有効です。
入ってきた花粉に対して目のかゆみや鼻水など、過剰に反応している過程をブロックすれば症状は抑えられるでしょう。
頭痛や倦怠感もアレルギー症状によって引き起こされているため、症状がある方はアレルギーに対する治療が必要です。
ただ、花粉症の症状に効果があるヒスタミン剤はどうしても眠気が生じてしまいます。症状を抑える効果を強くしたければ副作用も強くなるため、どの程度まで症状を抑えたいかは相談して決めていきましょう。
毎年のように新しい薬が開発されていて、眠気を抑えられる薬も増えてきているので、新薬を試してみるのも一つの手ですね。最近では1日1回服用すれば良い薬も増えていて、夜に飲めば眠気を抑えられると思いますよ。
また、内服薬の効果を抑えて点眼や点鼻薬を併用する、毎年2月からの花粉症に備えて1月から薬を飲んでおくなど、柔軟に対応が可能です。
用法や種類、服用時間などは調整が効きますので、まずは2週間薬を試してお気軽に相談してみてください。
【4つの症状に対する対策と治療】
- アレルギー性鼻炎の対策:マスクの着用、点眼薬の使用
- アレルギー性結膜炎の対策:ゴーグルの着用、点鼻薬の使用、目の洗浄
- アレルギー性咽頭炎の対策:マスクの着用、うがい
- アレルギー性皮膚炎の対策:長袖長ズボンの着用、コロコロで花粉を取る、保湿剤を塗る
かぜやコロナウィルスとの症状の違い
梶原:咳や喉の痛みがあると「もしかしたらコロナかも?」と不安になることがあります。そこで風邪やコロナウィルスとの症状の違いを教えてください。
八辻医師:どちらとも似たような症状が出るので最終的には検査で判断する必要があります。
ただ咳や喉の痛みだけでなく、合わせて目や皮フのかゆみが見られれば花粉症の可能性が高いです。
あとは症状が出ている期間ですかね。花粉症は花粉が多く飛んでいる期間に症状が見られますが、風邪であれば7〜10日で症状は治ります。咳や喉の痛みも10日を超えてきたら花粉症を疑ってみるといいでしょう。
コロナウィルスの影響でマスクを付けている方が多いからか、鼻や喉の症状より目のかゆみを訴える方が非常に多いです。
とはいえ鼻や喉の症状が全く出ないとは限りません。花粉が付けばそれぞれに症状が出るため、カードするように対策しましょう。
花粉症と新型コロナウィルスとの症状の違い
自身のアレルギーを知り、正しい対策を
梶原:最後に花粉症の対策はいつまで行えばいいか教えてください。
八辻医師:花粉は一年中飛んでいて、その年の気候などによって飛散量が変わってきます。
スギ花粉を例にとると、5月の連休明けぐらいまで花粉が飛散していると言われています。そのため、花粉の飛散情報を参考にしつつ、自身の症状と相談しながら対策をしていきましょう。
とはいえ花粉はスギだけではなく、ヒノキやブタクサなどもあります。自身がどのアレルギーを持っているか検査結果で把握しておくと正しい対策ができるでしょう。
目や鼻に症状が出ると眼科や耳鼻科、喉に症状が出ると呼吸器内科などを受診すると思いますが、内科なら全ての症状に対して診察・診断ができます。
さらにコロナウィルスとの鑑別もできるため、心配な方はお気軽に日扇会第一病院へ相談に来てください。